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3.支線アンカーの設計

Q.303 支線アンカー耐張力の推定式

支線アンカーの耐張力の推定式は配電規程※3に記載する埋設式アンカーの基礎強度推定式を基本としています。チコーアンカー80型の耐張力の推定式について以下に示します。

標準施工されたチコーアンカー80型は引揚げ荷重が加わると有効抵抗角により截頭錐体形状の土塊が形成され、土塊周面に働く粘着力をせん断抵抗力とした式1としております。チコーアンカー80型の耐張力は土塊の重量と土塊周面に働く効抵抗角により截頭錐体形状の土塊(図10)が形成されます。せん断抵抗力の合力から成り、式1にて推定可能となります。また、配電規程※3に記載する土壌の有効角度及び標準単位重量を表6に示します。

数式 …(式1)

数式

数式

ここに,
T: アンカー耐張力 (kN)
V : 截頭錐体の容積 (m3)
γ: 土の単位体積重量 (kN/m3)
A : 截頭錐体の周面積 (m2)
cu : 粘着力 (kN/m2)
θ : 引揚力に抵抗する土の有効角度 (゚)

図9 チコーアンカー80型と截頭錐体形状の土塊の概要

図10 チコーアンカー80型と截頭錐体形状の土塊の概要

表6 土壌の有効角度及び標準単位重量
土 壌 区 分 引揚力に抵抗する
有効角度 θ(度)
単位重量 We
(kg/m3)
甲 種 山地、硬い畑地又は原野のように赤土、砂利まじり等で湧水がなく、抵抗力の大きい箇所のもの。 30 1,600
乙 種 軟かい畑地、湧水の少ない水田のように黒土等で、やや湧水があるが抵抗力の大きい箇所のもの。 20 1,500
丙 種 普通の水田のように湧水が多く、抵抗力の小さい箇所のもの。 10 1,400
丁 種 沼地、特に軟弱な水田のように湧水が非常に多く抵抗力のない土地等でコンクリート打ち等を行う必要のある箇所のもの。 0 1,300


例) 引揚力に抵抗する土の有効角度θ=30゚、土の単位体積重量γ=16kN/m3、土の粘着力cu=5 kN/m2における、表7に示す寸法のチコーアンカー80型の3号、5号、7号の耐張力を求めよ。

表7 80型の寸法
種類 寸法 (m)
t a b c
3号 1.18 0.53 0.12 0.30
5号 1.26 0.65 0.16 0.35
7号 1.36 0.84 0.20 0.40

 

解) チコーアンカー80型のそれぞれの耐張力は式1を参考とすると、以下表となる。

表8 チコーアンカー80型のそれぞれの耐張力
アンカ
種類
截頭錐体の周面積 A
(m2)
截頭錐体の容積 V
(m3)
アンカー耐張力 T
(kN)
3号 4.50 1.06 39.5
5号 5.42 1.40 49.6
7号 6.75 1.95 64.9

【参考文献】※3 配電規程(日本電気協会、2012)