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8.接地工事の歴史

4)大正〜昭和初期

大正から昭和初期にかけての接地極は、古銅線を組んで銅籠を作って埋設する方法など低コストな接地極が見られました。これは、戦争、世界恐慌、震災などによる資材不足という時代背景が要因かと考えられます。

図4.電柱の接地

電柱の接地
参考:『電氣技工員講習録中巻 外線工事一斑』各務米次郎編 電氣之友社 大正14年3月

籠型の接地極の原型は明治時代にも見られます。明治時代は、この籠の中に炭を入れて使用していたケースも見られたため、図に見られるような籠型の接地極にも同様に炭を入れて使用したケースもあったのではないかと推測されます。

図5.大正時代に見られる接地極(銅板と銅線籠)

大正時代に見られる接地極(銅板と銅線籠)
参考:電気技工員講習録. 下巻 内線工事一班,東邦電力株式会社電気講習所 編 電氣之友社 大正15年5月

昭和初期になると銅板、鉄管(先端を平たく潰したもの)、銅棒などが一般的に使われていたようです。昭和初期に使用されていた接地極の一例を示します。

図6.接地管

.接地管

図7.地板

地板
参考:電気工事読本,東京電燈株式会社 昭和10年12月

大正時代以降の規定の制・改正について簡単に紹介します。 かなり古い文章で変換できない文字もありますが、できる限り当時の字を用いて記載いたしました。(アンダーラインの字は当時の漢字に変換できない箇所です。)

・大正8 年10 月、電気工作物規程 第一編 本則 第20 条にて現在のD種接地工事に相当する第三種地線工事が規定され、接地抵抗値として100Ω が規定された。

第三種地線工事 地線ニハ第一號ノ金属線ヲ用ヒ且地板ト大地トノ電氣抵抗ヲ百「オーム」以下ニ保持スルモノ又ハ之ト同等以上ノ力ヲ有スルモノ

・昭和7 年12 月、電気工作物規程 第二編 細則 第31 条にて第三種地線工事により接地すべき金属管と大地との接続が良好で、その電気抵抗が100Ω以下のときは接地線の省略が出来ると規定された。いわゆる緩和規定の始まりである。

第三種地線工事ニ依リ接地スベキ金属體ト大地トノ接續良好ニシテ其ノ電氣抵抗ガ百オーム以下ナルトキハ接地線ヲ省略スルコトヲ得

・昭和38 年7 月、電気工作物規程 第39 条にて現在のC種接地工事に相当する特別第3 種接地工事が規定され,接地抵抗値として10Ωが規定された。
これに伴い,第40 条に従来からの第3 種接地工事の省略に関する特例に加え,特別第3種接地工事の省略に関する特例が追加された。

平成9 年5 月、接地工事の名称が以下のように変更された。

第1 種接地工事   → A 種接地工事
第2 種接地工事   → B 種接地工事
特別第3 種接地工事 → C 種接地工事
第3 種接地工事   → D 種接地工事

1)現行法令規則大全. 大淵渉 編 駸々堂  明治29年12月
2)電氣規則集 日本電氣協會 明治44年十月
3)電気工作物規程. 大正8年度改正 電気評論社 大正8年
4)電気工作物規程,オーム社 編 昭和7年
5)『平成23年度 電気設備技術基準関連規格等調査役務請負報告書』 平成24年3月 社団法人 日本電気協会 技術基準適合評価委員会